【第4回】第4次公募 採択企業100社の定量分析(前編)
〜製造業が圧倒的に強いわけではない。“業容の大きさ”と“成長意志”が勝敗を分ける〜
【目次】
1.採択企業100社の規模感
2.業種構成:製造業だけが強いわけではない
3.業種別の規模比較(売上・従業員の中央値)
4.製造業が圧倒的に有利という俗説は誤り
第4次公募で採択された企業100社を徹底的に分析した結果、
「どんな企業が採択されているのか」について、
一般に流布されているイメージとはまったく異なる姿が見えてきました。
引用:4次公募採択企業一覧PDF
https://seichotoushi-hojo.jp/assets/pdf/list_4ji.pdf
今回の分析が示した結論は明快です。
1.採択企業100社の規模感
まず、採択企業全体の規模レンジから確認します。
• 売上高の中央値:70.5億円
(第1四分位:39億円、第3四分位:140億円)
下のグラフは、採択企業100社のうち単体売上高が判明した88社を売上高順に並べたグラフです。売上500億円を超えるような企業はごく少数で、200億円から数億円の範囲に集中しています。
• 従業員数の中央値:193.5人
(第1四分位:104人、第3四分位:324人)
下のグラフは、採択企業100社のうち単体従業員数が判明した96社を従業員数順に並べたグラフです。売上高よりは分散しています。
・採択企業は「売上40〜140億円」「従業員100〜300名」のゾーンが主流
下のグラフは、採択企業100社のうち単体売上高、単体従業員が判明した89社を従業員数と売上高でプロットしたものです。採択企業が従業員数450人以下かつ売上高200億円以下に集中していることがわかります。
下のグラフは、さらに従業員数450人以下、かつ売上高200億円以下の企業に絞り込んだものです。このゾーンでは、従業員数と売上高の相関関係や、採択されやすいゾーンは存在しません。
また売上高10億円、従業員数50人以上程度の一定の規模感が必要であることがわかります。
2.業種構成:製造業だけが強いわけではない
下グラフは採択企業100社の業種別分布です
製造業 :60社(60%)
卸・小売業 :16社(16%)
サービス業 :11社(11%)
その他(運輸・建設・その他):14社(14%)
製造業が最多ではあるものの、
製造業が圧倒的に有利だとまでは言えない 点が重要です。また運輸業が8社採択されているのが目を引きます。自動倉庫など補助金と親和性の高い投資内容が評価されやすいのではないかと予想されます。
3.業種別の規模比較(売上・従業員の中央値)
下のグラフは、採択企業100社の業種別売り上げ中央値と従業員数中央値です。
●製造・卸小売・サービスの“主要3業種”は、業容がほぼ同レベル
→ 売上70〜80億円ゾーン
→ 従業員190〜220人ゾーン
●その他(運輸・建設等)は“比較的小規模ゾーン”だが、それでも採択されている
→ 単に業種ではなく、投資の論理性が評価されている
4.製造業が圧倒的に有利という俗説は誤り
補助金の性質上、
「設備投資が売上に直結しやすい製造業が最も有利」と考えられがちです。
しかし実際には、
卸小売業・サービス業であっても、中堅規模の業容があれば十分採択されている。
• 売上
• 従業員規模
• 投資効果の因果関係
が明確であれば、業種差は大きな影響要因ではないことがわかります。
【次回目次】
5.サービス業は「業容が小さいと通らない」
6.その他業種は採択されやすい“隠れた狙い目”
7.100億宣言企業の定量分析
8.まとめ