第4回】第4次公募 採択企業100社の定量分析(後編)
〜製造業が圧倒的に強いわけではない。“業容の大きさ”と“成長意志”が勝敗を分ける〜
【目次】
5.サービス業は「業容が小さいと通らない」
6.その他業種は採択されやすい“隠れた狙い目”
7.100億宣言企業の正体
8.まとめ
5.サービス業は「業容が小さいと通らない」
今回採択されたサービス業11社は、
売上中央値:81億円(製造・卸より高い)
従業員中央値:217人
という大規模クラスのサービス企業 に限定されていました。
つまり、
小規模サービス業は採択が難しい。
ある程度の業容がなければ、計画の説得力が出ない。
6.その他業種は採択されやすい“隠れた狙い目”
運輸(8社)・建設(1社)・その他(5社)をまとめた「その他」14社は、
売上中央値:57億円(最小)
従業員中央値:148名(最小)
にもかかわらず、一定数が採択されています。
特に運輸業が8社と多く、
物流倉庫や物流システム投資により生産性を一気に向上させる
という取り組みが評価されているのではないかと思われます。
7.100億宣言企業の正体
(1)概要
売上は大きいのに、従業員はコンパクト”な企業像
採択企業100社のうち40社が「100億宣言」企業でした。
100億宣言とは、
中小企業が「自社を年商100億円規模へ成長させる」意思を示す制度であり、
この宣言を行うことで
中小企業成長加速化補助金へ応募する資格を得ることができる。
その一方で、
100億宣言企業の多くは、今回の大規模成長投資補助金にも積極的に応募しており、
両補助金のターゲット層が重なっている点に特徴があります。
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/
大規模成長投資補助金第4回公募採択企業に含まれる100億宣言企業40社を
「非宣言企業(売上100億未満)」21社と比較すると、次のような構造が明確になります。

売上規模は宣言企業のほうが大きい
100億に手が届きつつある“成長ステージ”にある
従業員数は非宣言企業のほうが大きい
宣言企業は「高生産性・高効率」の組織構造をもつ
(2) 理由:成長加速化補助金は“中小企業”しか申請できない
成長加速化補助金の要件は明確です。
第1回公募要領
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/documents/subsidy/kobo_20250418.pdf
従業員数・資本金規模の大きい中堅企業は申請できません。
したがって、
「中堅・大企業」は100億宣言を掲げる必然性がない
従業員数150〜200名前後の“中小企業上位層”こそ、宣言の中心
という構造が自然に成立します。
(3) 100億宣言企業の正体(核心)
データ × 制度 × 行動ロジックを統合すると、
100億宣言企業とは次のように定義できます。
100億宣言企業とは
「大規模成長投資補助金」と「成長加速化補助金」を同時に狙える、
売上規模の大きい“中小企業の上位層”。
設備投資による飛躍余地が大きく、成長意欲の強い企業である。」
一方、2025年度補正予算案には「大規模成長投資補助金」の予算規模は総額4,121億円、
うち1,000億円程度は「100億宣言企業」向けに重点的に配分される
との記述があります。
大規模成長投資補助金では第4回公募までは「100億宣言」は
必須要件でも加点要素でもありませんでしたが、
次回第5回公募からは100億宣言が重要な加点要素になるものと予想します。
つまり、
ただでさえ財務体力のある中小企業の上位層である100憶宣言企業は、
第5回大規模成長投資補助金からは、加点を与えられ更に有利になる。ということです。
中小企業庁2025年度補正予算案資料
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r8/r7_hosei.pdf?utm_source=chatgpt.com
8.まとめ
今回の100社分析で見えてきたポイントは以下のとおりです。
サービス業は小規模では通らず(=業種特性が考慮されない)、中堅レベルのみ採択される。
その他業種(特に運輸業)は投資効果が明確で、意外な狙い目。
100億宣言企業は、補助金制度との親和性が高い“中小企業上位層”。第5回公募からは重要な加点要素となる可能性がある。
次回は、
「2次審査(経営者面接)で審査員が実際に見ているポイント」 を解説します。
強めの論調で、一歩踏み込んだ内容になります。
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